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横浜にぎわい座は、落語、漫才、大道芸などの大衆芸能の専門館です。

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3.講談Q&A

Q1 「釈台」について教えてください。
講談で使用する台を「釈台」と言います。正しくは「机」と呼ぶのだと言われていますが、実際に「机」という言い方をする方は現在はほとんどいません。
寄席など恒常的に講談の公演があるところには専用の釈台がありますが、通常の会場には常備していません。そのため、講談師は各自で折り畳み式の釈台を持っており、手製の袋に入れて会場に持参します。市販はなく全てオーダーメイドです。
Q2 修羅場読みとは?
武士の名前や身なり、いくさの場面での軍勢の様子や光景などを、張り扇(はりおうぎ、はりせんとも言う)で調子を取りながら声高らかにリズミカルに朗唱する独特の語り方を「修羅場読み」と言います。講談が元来、男性の話芸であったことと関連しています。
修羅場読みは現在も講談の基本となっており、講談師が最初に覚える演目は軍記物の「三方ヶ原軍記」とされています。この修羅場を読むことで、語る、話す、読む、謡うなどの調子を学び、腹から声を出すことで声を鍛え、観客が聞きやすい声の高さを習得します。
慣れないうちは何を言っているのか分からないのも事実です。まずは音楽だと思って、その調べにひたる気持ちで聴いてみましょう。次第に心地よさが伝わってきます。さらに内容が聞き取れるようになると、情景が鮮やかに描写されていることも分かります。
Q3 講談の「高座」の由来は?
「1.寄席」のQ1で、「高座」という名称は、僧侶が説教をするために座る高い台を「高座」と呼ぶことから来ていますと述べました。ただし、講談の高座の由来には異説もあります。講談は江戸時代半ばまで聴衆と同じ高さで演じられていたのを、湯島天神境内で口演していた講談師伊東燕晋(いとうえんしん)が徳川家康の偉業を語る際に庶民と同じ高さで読むのは恐れ多いと奉行所に願い出て高くしたのが始まりというものです。
Q4 軍談を読むことから始まった講談が現在のようにさまざまな読み物を読むようになったのは?
江戸時代、講談の内容は軍談の他、将軍家や大名家の記録である御記録物、泥棒や名人伝、怪談などの世話物と種類が増えていきます。「天下の御記録読み」という自負を持つ者がいる一方、大衆に親しまれるように面白く、分かりやすく演じる者も現れ、話芸として定着します。
Q5 講談と落語の関連について教えてください。
いくさの史実を脚色することから生まれた講談。笑いを追求する落語。この2つの話芸は、ともに仏教と関連があり、たがいに影響を与えながら発展してきました。両者の交流は現在も続き、三遊亭白鳥の創作落語「任侠 流れの豚次伝」が講談になるという現象も現れています。
Q6 新作講談について教えてください。
講談には史実に基づいた物語だけでなく、世相や社会事象を題材にした新作もあります。浪曲でも有名な「清水次郎長伝」は荒神山の喧嘩に参加した講釈師、松廼家太琉が講談にしたと伝わっています。講談中興の祖、2代目松林伯圓も世間の話題となった事件を講談化して演じました。
Q7 新作講談には政治講談やニュース講談もあるそうですが?
政界の裏話を伝える政治講談で人気があったのが、明治から昭和の講談師で衆議院議員にもなった初代伊藤痴遊(いとうちゆう)。1964年の東京オリンピック開会式の模様を講談で演じて話題となったのが田辺一鶴(たなべいっかく)です。これはニュース講談といえるでしょう。
Q8 女性講談師の新作講談とは?
男性が演じる芸能として生まれた講談ですが、現在は女性講談師が男性より多くなっています。それにともない、女性が主人公という女性演者向けの新作も次々に作られています。物語の舞台は古今東西を問わず、「ジャンヌ・ダルク」「カルメン」などの外国の物語もあります。
Q9 講談にまつわる川柳を教えて。
「講釈師見てきたような嘘をつき」。講談師を茶化した有名な川柳です。講談師に言わせると、虚構や想像ばかりではお客様は興味を持ってくれないので、実地調査をした上で巧みなフィクションを加えるのが大切とか。「講釈師見てきた上で嘘をつき」だそうです。
「講釈師扇で嘘を叩き出し」。講談はジツロクがよいと講談師は言っています。「実録」ではなく「実六」です。事実が六割で嘘が四割。このさじ加減によって虚構をまことしやかに伝えるマジック。そこに講談最大の魅力があるといえます。
「冬は義士夏はお化けで飯を食い」。2代目神田山陽作。吉良邸討ち入りの十二月十五日にあわせて冬は赤穂義士伝、忠臣蔵が人気。夏場は怪談が喜ばれます。実は下の句が「春と秋とは食いっぱぐれ」という狂歌だという説もありますが、現在の講談師は食いっぱぐれはないでしょう。
Q10 講談で歴史ネタの新作を作る時にはルールがあるそうですが?
一龍斎貞水先生によりますと、登場する大名や奉行などの名前と役職名はまったくの架空の名を使うのではなく、実在した方の名を用いるということです。この姿勢には、講談師は「天下の御記録読み」だという気概を感じます。
Q11 「張扇(はりおうぎ)」について教えて下さい。
釈台を叩いて「パンパン(ポンポン)」と音を出す「張扇」。扇といっても開いて仰ぐことはできません。声質によって厚みを変えるので多くの場合が演者の手作り。材料の和紙を産地から取り寄せるなど、こだわりの逸品になります。演者によっては上方落語で見台を叩くのに使う小拍子を好んで使用する場合もあります。

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